ESD デバイス (ガストロ用語集 2023 「胃と腸」47巻5号より)

ESD device

内視鏡的粘膜下層剥離術(endoscopic submucosal dissection ; ESD)に用いる高周波ナイフを総称してESDデバイスという.

1990年代後半にITナイフ(insulation-tipped diathermic knife)が開発されてから現在に至るまで,

安全で容易な一括切除を目的とした多くのESDデバイスが開発されている.

術者はそれぞれの特性を熟知し,デバイスを選択することが重要である.主なデバイスの特性について解説する.

 

ITナイフ(KD-610L,オリンパス社)

ITナイフは細川が考案し,小野ら1)により臨床応用された最初のESDデバイスである.

針状ナイフの先端に絶縁体であるセラミック小球を装着したナイフであり先端の絶縁チップにより穿孔の危険性を減少させた.

その後チップの底面に3本の短ブレードを装着したITナイフ2(Fig. 1)が開発され,横方向の切開や線維化部分の切開能が向上した.

長所は他のデバイスに比べて術時間が短いことであり,短所はやや習熟に時間を要することである.

 

Fig. 1 IT ナイフ2(オリンパス社).
Fig. 1 IT ナイフ2(オリンパス社).

Hookナイフ(KD-620QR,オリンパス社,Fig. 2)

小山ら2)によって開発され,針状ナイフの先端が直角に曲がったナイフである.

手元のハンドルでHook部を任意の方向に調整することができる.

先端のHook部分を利用して,粘膜下層の線維を把持し,

固有筋層から遠ざかる方向に切開・剥離操作を行うことにより穿孔のリスクが少なく,安全なESDが可能である.

 

Fig. 2 Hook ナイフ(オリンパス社).
Fig. 2 Hook ナイフ(オリンパス社).

Flexナイフ(KD-630L,オリンパス社,Fig. 3)

矢作ら3)により開発され,細径スネアを原型に改良を加え開発されたナイフである.

ナイフ先端は,スネアに用いるひねり線ワイヤを曲げたループ状の形状となっており,